貿易事務

貿易事務は必ず知っておくべきBLという書類について

こんにちは。
有坂です。

有坂は新入社員のころに船積書類について先輩から教わっているときにBLについて

「これはお金と一緒だから。そのくらい大切な書類と思ってね」

と言われたことを今でも鮮明に覚えています。

そんな船積書類の中でもかなり大事な書類、BL(BILL OF LADING)についお話ししたいと思います。
ちなみに日本語では船荷証券(ふなにしょうけん)と言いますが実務では「ビーエル」と呼ばれていることがほとんどです。

今回はBLの「貨物受領書」「貨物運送状」「有価証券」「貨物引き取証」の4つの役割とどのようなことが記載されているかを見ていきたいと思います。

 BL は貨物受領書であり運送契約書

輸出者が貨物を船会社に引き渡したときに船会社は輸出者に対してBLを発行します。

輸出者にとっては船会社が貨物を受け取ってくれたことを証明する貨物受領書になります。
またBLの裏面にはめっちゃくちゃ小さい文字でズラ〜と英文がぎっしり書かれていますが
この裏面には船会社が貨物の輸送を引き受ける条件が書かれています。

この裏面に書かれている条件をBL約款と言いますが
国際条約に基づきどのように条件で船会社が貨物を引き取るか、運送を行なうか、責任範囲はどうか、などが記載されています。

BLは有価証券であり貨物引き取り証

有価証券は有価証券そのものに財産的価値があり、譲渡することでその財産的価値を移転させることが特徴ですね。
BLにも有価証券機能があります。

BLは貨物と引き換えに船会社から輸出者へ渡されます。
有価証券機能を持ち合わせているので貨物そのものの価値がある=財産的価値があるということです。

有坂:きっとこれが先輩が私にいった「お金と一緒だよ」の意味ですね。

BLは輸出者から輸入者の元に発送されます。
そしてこの輸出者から輸入者へBLが渡るときに貨物の所有権が輸出者から輸入者へ移転しています。

輸入者は手元に届いたBLに裏書をして輸入地の船会社に差し入れをして貨物の引き取る段取りに入ります。

BLに書かれている項目をチェック

 

Shipper名 Consignee名

Shipper名には輸出者の会社名、Consigneeには輸入者の名前、銀行名、もしくは「to order」といったことが入ります。
(consignee欄の銀行名、to orderが記載されることについては別途書いていきます)

BLは船会社が作成します。輸出者側が作成するShipping Instruction(シッピングインストラクション)を元に作成しますがこれも人がやることなのでスペルミスや住所が若干違うなどのミスがあったりすることがありますので入念にチェックしましょう。

本船名

貨物が輸送される際に用いられる船の名前です。
船積港〜輸入港まで同じ船で貨物が運ばれることもあれば
長い航路の場合途中で積み替えられる場合があります。
積み替えの場合、積み替え後の本船名は大体BLには記載されていません。

積み替え船は船会社のホームページで検索すると確認することもできますが
船会社によってはホームページでの確認ができず直接カスタマーセンターに電話で聞かなければわからないといったこともあります。

有坂:貿易業界はまだまだアナログなところが多い業界なのです。

BL No. コンテナNo.

BLNo.はその名の通りBLの番号です。大体BLの右上あたりに記載されています。
このBL No.は請求書などでも同じように他のBLと同じ番号が振られることはありませんがたまに末尾が違うだけであとは一緒というときがあります。

例えば
BL No.123456789A

BL No.123456789B

 

と言った感じです。

この場合同じコンテナに異なるBLの貨物が大体載っています。貨物の合い積みですね。

この例の場合だと
「2BL、1VAN(ツービーエル、ワンバン)」などと言います。

もしも合い積みの話を聞いてなく、BL No.を見たらこのような表記だった場合は他の商品も一緒に積まれていないか確認しましょう。

有坂:私の勤めている会社では同じ工場から取り扱う商品が異なったり、部署違いなどの理由でBLが別れるけれど同じコンテナに積まれてくることがたまにあります。
またごく稀に他社さんの貨物と混載になることもありますね。

コンテナ No.はコンテナの番号です。
このコンテナの番号でBL No.と同様に貨物の動静確認を船会社のホームページで行うことができます。

シールとはコンテナを閉じた時にコンテナのドアに取り付けられる金属製の棒状のもので、このシールに振られている番号がシール No.です。
「シール」と聞くとペラペラの紙みたいなのを思い浮かべてしまうかもしれませんがコンテナのドアをロックする頑丈なものです。

コンテナを開けるときにはこのシールを壊して開けなければ開けることはできません。使い捨てなのです。そのため書類に書かれているシールNo.とコンテナのシールNo.にもし違いがあれば輸送途中で不正にコンテナが開けられた可能性があることを考えなければいけません。

貨物が盗まれたり、よくわからないものが積まれてしまっている可能性だったり、

日本にずっと暮らしていると「そんなことあるかよ」と思うかもしれないですが海外って本当に何が起きるかわかりません。よくわからないことが起きるのです。

「あれ、おかしい気がする…」と思ったら確認しすぎるくらいがちょうど良いです!

品名、NET重量、GROSS重量

BLの真ん中あたりに貨物の品名、重量が書かれています。
この品名も間違いがないかチェックしましょう。
また重量も他の書類と異なる重量が記載されている、タイプミスらしきものがあったり、ということがあったりしますので他の船積書類と整合性が取れているか要確認です。

荷受地、船積港、荷揚港、荷渡地

どこで貨物が引き渡されたか(荷受地 Place of receipt)
どこの港から貨物が本船に積み込まれたか(船積港 Port of Loading)
どこの港に本船が到着したか(荷揚港 Port of Discharge)
最終的な貨物の荷渡地がどこか(荷渡地 Place of delivery)
が記載されています。

BL発行日、BL発行された場所

BLの発行された日付と発行された場所が書かれています。
普段実務を行なっている時にそこまで気にする箇所ではありませんが、
BLに不備があった時に関わってきます。

基本的にBLに訂正が必要になった場合は発行地の船会社で訂正を行います。
そのため日本にすでに到着してしまってから不備に気づいた場合、
一旦発行元まで返却しなければなりません。

大変時間がかかってしまいますね。
そのためBLの内容は輸出者から先にPDFで送ってもらい、本書が日本に来る前に内容確認しておくことがスムーズな貨物の引き取りのためにはとても大事です。

BLの部数

BLオリジナル(本書)は3部発行されます。
実際はBLオリジナル1部があれば貨物の引き取りのは可能です。
3部発行されるのは輸送途中の紛失により貨物が引き取れなくなることを避けるたです。

そのため通常BLのオリジナルは一度に3部送らないことです。
1部と2部に分けて送ることでリスク分散します。

海外に書類を発送する場合、とても高いです。
どこの配送サービスを利用するかやお急ぎ便、普通便でも多少金額に差はありますが
日本から東南アジアなどでは5,000〜10,000円くらいが相場です。

しかし配送費が高いからといって一緒に送ってしまった際に万が一のことがあれば
BLは有価証券なのでなかなか簡単に「はい、再発行」とはいきません。
オリジナルBLを送る際は分割して送るようにしましょう。

サイン

船会社のサインです。

サインがもう一箇所、
「Laden on board the vessel」というところにか記載されているサインは
本船に貨物が積みまれたことを証明するサインです。On Board Nation 船積証明といいます。(サインではなくOn Board Nationのスタンプの場合もあります)

BLにはOn board BL(Shipped BL)とReceived BLがあります。
On board BLは貨物が積み込まれたときに発行されるBLです。
コンテナ輸送が主流になる前の在来船に直接貨物を積むことが多かったときはほとんどがOn board BLの発行でした。

しかし最近はコンテナに積むことが可能な大きさの貨物はコンテナ輸送が中心となり、
コンテナ輸送の場合CYで貨物入りのコンテナを船会社が引き取った段階でReceived BLを発行します。
この場合受け取っただけで積み込んだ証明にはならなりません。

LC決済の場合だと銀行が書類を受け取りませんのでLCの際はOn board BLであるか、
Received BLであればOn Board Nation が必要です。

Clean BL   Foul BL

貨物積み込みの際にすでに貨物にダメージがあった場合BLにFoul BLの記載がされます。
この場合輸入地に着いてから輸入者が保険求償などをしようとしても難しくなります。
またLC決済の場合であればBLはクリーン(貨物にダメージがない)が前提ですのでFoul BLの場合銀行は書類を買い取ってくれません。

代金回収にも関わることですので輸出者、輸入者どちらからであっても当たり前のことですが貨物はクリーンな状態が良いのです。

LC決済でない場合は直接BLが輸入者の手元にきますのでBLがfoul BLになっていないか輸入者が確認しなければなりません。

代金決済に関してやその積まれてしまった貨物をどうするかなど輸出者側と確認を取ることになりますのできちんと確認しましょう。

 

いかがでしたでしょうか。
BL1つにこれだけ知っておかなければならないことがあります。

まだまだBLについてはここに書ききれていないこともありますが
今回は長くなってしまったのでこのあたりで失礼します。

ご参考になりましたら幸いです!