貿易事務

【初心者向け】原産地証明書・特恵関税とは

こんにちは
有坂です。

今回は船積書類の1つである原産地証明書についてお話ししようと思います。

原産地証明書は細かく話すとかなり情報量としては膨大になります。
また、深堀していけばしていくほど難しい内容になってきます。

なので今回の記事ではかなりざっくり話していきたいと思います。
これから貿易事務を始める方や、今まさに貿易事務として働いている方で
この辺りは知っておいたほうが良いかな、くらいのあまり複雑ではない感じで話します。

原産地証明書とは

原産地証明書とはその名前の通り、輸出入する貨物の原産国を証明する書類です。

人間でも住民票なり免許証なりパスポートなり、身分を証明できるものがありますよね。

同じような感じで輸出入する貨物が「何者」なのか証明する書類です。

国によっては輸入通関時に必要のない国もありますのでもし自分が輸出者側で、
輸出先の国が必要としてなければ発行する必要はありません。
発行にはもちろんお金もかかりますし(何千円程度ですが)書類作成の手間もありますからね。

だいたい輸入者側が
通関時に必要(国で決められている)
契約内容上必要
信用状取引の際の必要書類として必要

ということで発行する必要が出てきます。

原産地証明書を提出すれば関税が安くなる?タダにも⁉︎

原産地証明書にはもう1つ役割があります。

自分が輸入者側の時の話になりますが、
輸入してきた貨物を通関申告するときに原産地証明書を提出すると

関税が減額されるかゼロ円にすることができることがあります。

「なにそれヤッタァ!めっちゃ安く輸入できるじゃん!」

と思うかもしれませんが、
もちろん全ての貨物で関税減額&ゼロ円が適用できるわけではないんですね。

この関税が安く、もしくはゼロ円になることを
特恵関税制度(GSP Generalized System Of Preferences)と言います。

これは開発途上国の経済支援のための制度であり、
開発途上国や地域を原産地とする特定の貨物に、通常よりも低い税率を適用して
途上国の輸出を促進しよう、というものです。

どういうことかというと

とある途上国 ▲▲国:「どんどん輸出したい。モノ売りたい。」

他の国:「●●を輸入したいけどどこから輸入しようかな。お、▲▲国(途上国)から輸入すると、他の国から輸入するより
関税やすくなるぞ!」

▲▲国:「わーい、いっぱい輸出できた!(モノが売れた!)」

 

と、すごく平たくいうとこういうことです。

また国連が指定する後発開発途上国(LDC:Least Developed Countries)に対しては
特別特恵対象品目というものを設けています。
この特別特恵対象品目は輸入するときに無税で輸入することができます。

輸入するときに途上国から輸入したら自動的に関税が通常より安くなるかと言ったらそうではありません。

輸入申告する際に輸出国が発行した原産地証明書の原本を提出しなければなりません
コピーではダメです。

原本です!

このときに提出する原産地証明書は普通の原産地証明書とは少し違います。

一般特恵制度原産地証明書様式A(だいたいみんなFORM Aと呼んでいます)
という書式で発行された原産地証明書の原本を提出しなければなりません。

他にもある、原産地証明書で関税を低くする!

先ほどお話ししました途上国応援のための特恵以外にも、
関税を安く輸入することができる方法があります。

経済連携協定という言葉聞いたことありませんか?
ニュースなどで耳にしますね。ここ最近ではTPPが一番耳にするでしょうか。

日本では主にアジア諸国が多いですが各国間で協定を結んで
条件を満たす貨物に関しては関税率がやや低くなったり、段階的に関税率が低くなって最終的にゼロ円になったりというものです。

日本タイ経済連携協定などですね。

TPPというのは環太平洋パートナーシップのことで
太平洋を囲む12カ国での経済連携協定ですがその後アメリカが離脱したので
アメリカ以外の11カ国で協定に署名されています(TPP11協定)
(オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナム)

輸入する貨物の関税が低くなるのか確認しよう

今回はさわり程度ですが、原産地証明書がどのようなものか、
また、特恵関税制度というものについてお話ししました。

世の中は刻々と変化をしています。
今までは特段特恵対象ではなかった貨物がTPPの締結により関税の引き下げ対象になったという貨物は多いでしょう。

今まさに貿易事務の仕事をしている方は取り扱っている貨物で対象になっているものはないか確認してみてください。

またこれから貿易事務を始めようと思う方はよくニュースで耳にする経済連携協定などが
こういったところで関係してくるんだ、ということを覚えておくとよりスムーズに仕事に取り組めますので是非覚えておいてくださいね。