貿易事務

いる?いらない?BL(船荷証券)の裏書

こんにちは有坂です。

貿易事務の仕事は主に船積書類の処理を行うことですが
その船積み書類の中でもとても重要な書類と言われているBL。

実際に仕事をしているとBLの裏書についてよく耳にすると思います。
この裏書、BLがどんな状態かで必要かそうでないかが変わってきます。

今回はBLの「裏書」について話していきたいと思います。

BLは有価証券、裏書によって譲渡が可能

前回別の記事でBLの話をした際にBLは有価証券であることをお話ししました。
有価証券はそのもの自体に財産価値があり、譲渡することで所有権を簡単に転移できることが特徴です。

この有価証券機能のおかげで輸出者から輸入者へBLの所有権が移ることで売買が成立します。

そしてこの譲渡をする際にBLの裏面にサインします。

これがBLの裏書(Endorsement)です。

ではこの裏書ですが、誰がするのでしょうか。
これはその取引するBLの状態によって異なります。

BLの裏書はConsigneeの記載の状態で変わってくる

裏書をする話の前に、Consigneeに何が記載されているかで
そのBLの流通性が変わることについてお話しします。

Consigneeに輸入者の名前や特定の指図人が記載されていればそのBLは

記名式船荷証券(STRAIGHT BL) というBLになります。

一方でConsigneeにTo order , To order of shipper が記載されているBLは

指図式船荷証券(ORDER BL) というBLになります。

記名式船荷証券(STRAIGHT BL)

Consigneeに輸入者の名前が記載されている場合は
そのBLの最終所有者が輸入者であることを示しています。
そのため輸出者から輸入者へダイレクトに渡るBLとなります。

この場合貨物を受ける人、荷受人となる人が輸入者と特定されていますのでこのBLには流通性がありません。
記載されている輸入者が他の第三者に譲渡しよう!ということにでもならない限り他の人に渡ることはありません。

Consignee欄にTo order of ◯◯(例えば銀行名や他の会社名など)が入っている場合は
この◯◯指図によって次に誰が所有者になることができるか指定できるBLとなっています。

例えば最終輸入者DEFG COMPANYであったとして、Consignee欄に To order of LMN Co.,Ltdと書かれていたら
LMN Co.,Ltdの裏書がないと最終的にDEFG COMPANYはそのBLの所有権を持つことはできません。

指図式船荷証券(ORDER BL)

ConsigneeにTo order もしくはTo order of shipperという記載がされている場合は
輸出者の指図により誰にでも渡すことができる、ということを示しています。

最初から譲渡先が特定されているわけではないので流通性があるということになります。

 

このConsigneeの状態がどちらかで誰が裏書をしなければならないかが変わってくるのです。

誰がBLに裏書をするか

では次に誰の裏書が必要かです。
まず輸出者の場合、必ず手元にBLを手にしますね。

輸出者はConsigneeの状態によって裏書する時としない時があります。

Consignee欄が輸入者の名前や指図人の名前が入っている記名式の場合、輸出者は裏書の必要がありません。

左:輸入者の名前が入っている   右:指図人の名前が入っている

 

ConsigneeがTo orderやTo order of shipper である単純指図式船荷証券の場合は
「輸出者の指図で」となるので輸出者のサインが必要となります。
この際に譲渡先の名前を記載する必要はありません。

 

この次の譲渡人の名前を書かない裏書の仕方を白地(しらじ)裏書といいます。

Consignee 欄にTo order of ◯◯と指図人が記載されている場合、
輸出者のサインは必要ありませんが、◯◯に当たる人が最初に裏書をする必要があります。

自分のサインとともに次に譲渡する人の名前を書きます。

Consignee が輸入者の場合、
こちらも輸出者の裏書は必要ありません。
輸入者の名前が書かれているいうことは輸出者〜輸入者間に他の第三者に渡ることのないBLです。

そのため輸入者は裏書のないBLを受け取ることになり、最後は貨物引き取るために船会社に差し入れする際裏書をしてBLを差し入れます。

輸入者は最後に貨物引き取りのために裏書をしたBLを船会社に差し入れしなければなりませんので受け取ったBLのConsigneeがto order であろうとTo order ◯◯であろうとすべてのBLに裏書が必要です。

BLの裏書とLCについて

ここでLC取引のお話を少ししたいと思います。

LC取引は船積書類を銀行経由にて輸入者まで渡りますが
その流れはこのようになっています。

 

BLを含む船積書類の内容が信用状の内容と相違なければ買取銀行が輸出者から荷為替手形を買取り、輸入者が代金を支払う前に輸出者へ代金を支払います。

これは有価証券機能のあるBLを担保にして輸入者が代金を払う前に輸出者へ代金を支払っています。
その後、開設銀行に書類が渡り、輸入者へ荷為替手形が提示されます。
輸入者は開設銀行に対して決済を済ませたら引き換えに開設銀行から船積書類を手にすることができ、貨物引き取りに進みます。

この輸出者、銀行、輸入者の間でBLの所有者が変わっています。
そのためLC取引の場合、第三者への流通が可能であるOrder BLが使われます。

LC取引の場合は輸出者がフォワーダーを通して船会社にBL発行依頼する際はConsigneeをTo orderで依頼する必要があります。

有坂:普段から記名式、指図人記名式、単純指図式と様々なBLを作成してもらっている人はうっかり間違えないようにしなければいけませんね。

またTo orderとTo order of shipper はほとんど同じ意味ですが信用状の場合は注意が必要です。
信用状の内容がTo order of shipper になっているのにBLがTo order と記載されていた場合に買取拒否をされてしまうことがあります。
そのため信用状取引の際はBLに限らずですが船積書類作成時に信用状の内容通り厳密に作成する必要があります。

はい、今回はBLの裏書についてお話しました。
自身が輸出者なのか、指図人なのか、輸入者なのか、どの立場に立つかでサインが必要かそうでないかが変わってきます。
様々な取引形態を扱っている場合は特に、ごちゃごちゃにならないよう気をつけてBLを取り扱いましょう。

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