通関士

通関士(通関業者)の仕事内容

こんにちは
有坂です。

私は今某食品メーカー貿易事務職として働いています。
このサイトは主にメーカーや商社での貿易事務の記事が中心ですが今回友達やお世話になっている通関士さんから聞いた話を元に通関士さんがどんなことをしているのかちらっとシェアできたらなと思いいくつか通関士関係のことを発信してみようと思います。

通関士の仕事とは??

海外から商品を購入して輸入するときや日本から海外へ商品を輸出するときには必ずどんなものでも税関に対して「こう言った商品◯◯個、◯◯キロ、◯◯な輸送形態で輸入(輸出)します!」と言った通関申告というものをしなければなりません。

メーカーや商社独自で通関申告をしているところもありますが、昨今では取扱貨物量の増加や申告までの作業の複雑性から自社では申告をせず「通関業というところに依頼することが一般的です。

このように他者からの依頼によって行う通関に関する手続きを通関業と言います。
通関士とは貿易関係の仕事の中での唯一の国家資格であり、通関業を生業としている会社に属して働きます。

国家試験合格後、勤めている通関業務を行う会社を通し税関長の確認を受けて通関士という肩書きを名乗れます。(合格したからって勝手に名乗っちゃいけません)

通関士(通関業者)は主に次のような仕事をメインに行います。

①税関へ通関申告
企業などから通関の依頼を受け必要書類を受け取ったあと書類の内容確認を行い申告書の作成を行い税関に対して通関の申告を行います。

輸入の際は特に正しく関税を納付するため申告内容に間違いが無いよう必要書類の内容を細かくチェックします。国で定めた規制や法令に引っかからないかも確認します。

通関申告はNACCS(NIPPON AUTOMATED CARGO AND PORTCONSOLIDATED SYSYTEM)というシステムにて行います。
このシステムで税関や貨物を一時保管する保税蔵置場や船会社など関係行政機関に関わる民間業務を処理しています。

②税関への不服申し立て・主張・陳述
通関の申告をしたときに税関長から処分を言い渡されたときに、輸出者や輸入者が税関長の処分を不当とするとき再調査の請求を税関長に・審査請求を財務大臣に対してする時があります。これを不服申し立てと言います。

その際税関に対して再調査の請求・審査請求をするのは輸出入者ではなく通関業者が行います。また税関に対して意思の主張・陳述もできます。

これらは通関士の独占業務です。

基本デスクワーク

以前は税関に足を運ぶことも多かったですが時代とともに処理方法が変わりNACCSのシステムを用いるようになってからは税関に行くことも減り、基本的には社内で過ごすことが多いです。

またメーカーや商社に駐在をする人もいます。
中には検査対象になった貨物を税関職員が確認する際立会いをするために倉庫へ行くこともありますし、公的機関発行の書類の申請、受け取りを荷主からの依頼で行うこともあります。

湊君:有坂さんの友人してます湊と言います。基本デスクワークですよ。インドア派の人にはいいかもしれません。

英語のスキルはどのくらい必要か?

取り扱う書類等は英語で書かれているのである程度の英語力はあった方が望ましいですが
メーカーや商社の担当者のように海外とやりとりするようなことはほとんどありません。
そのため高い英語力がなくてもあまり問題はありません。それ以上に専門用語や法律等、海外情勢によって変更になる条例等を頭に入れておくことの方が大事です。

通関士の資格がなくとも働ける

通関業者で通関業務を行う場合、通関士の資格を取得していなくても働くことができます。(通関士の資格を持ってない人を従事者と呼びます)

そのため国家資格である通関士試験を突破していないと就けない職業ではありません。
新卒の場合は何も知らない、わからない人がほとんどのはずですので1から教育してくれることが多いです。

転職となるとやはり経験者が有利です。通関の仕事に限らずではありますが場数、経験がものを言う仕事です。

とはいえ通関業務未経験者が絶対にできないと言うわけではありません。
会社によっては募集しているところもあります。
メーカー等で貿易事務として働いていた人が転身する例も少なくありません。
全くの物流業界未経験での転職は難しい職種ではありますが、荷主側のことがわかる貿易事務等の経験があればこの経験は有利に働くでしょう。

有坂:私の同僚で貿易事務をやっていて通関業者へ転職した方がいました。今まで貿易事務として培ってきた経験にプラスして通関業者の仕事内容がわかればもっと貿易の仕事に関して視野が広がるし自分自身にとってもいい経験が積めますよね。

湊君:日本は輸出入が盛んで、今身の回りに海外からの商品は当たり前のようにたくさんありますが、これらは全て輸入してもいいか厳しいチェックを通って初めて手にすることができます。

この厳しいチェック云々を行うのを通関業務と言いますが、中々普通に生活していると知ることのない仕事だと思います。少しでも「通関業」という仕事があって今身の回りにある海外からのモノが手にすることができるということを知ってくれたら嬉しいです。