こんにちは
有坂です。
今回は貨物のシップバックをした時のお話しをしたいと思います。
シップバックとは
一度発送された貨物を輸出者の元へ返送することをシップバックと言います。
このシップバックには大きく積み戻しと再輸出の2つに分かれます。
積み戻しとは輸入されてきた貨物が輸入通関になる前、保税貨物の状態から再度船もしくは航空便に乗せて輸出者のもとへ返送することを言います。
一方再輸出とはすでに通関許可を受けて、内国貨物としてある状態の貨物を再度輸出通関をして外国貨物の状態にして輸出者に返送することを指します。
シップバックする理由

一度出荷された貨物をまた船や航空便に乗せてわざわざ返送する理由は、様々ありますが
早い話があったところで使えない物だからです。
・商品規格が異なる
・品質が契約が異なる
・輸入通関前であれば申告時に必要なライセンスが無い,もしくは切れている
・輸入通関前時点で商品の状態が悪いと確認できた場合
・通関前検査で違反になってしまった
などなど
。。。早い話が使えないからです。
よくシップバックにおいては「積み戻し」
いわゆる通関前に返送することになることが多いとネット等で見かけることがあるのですが
そうとも限りません。
扱う貨物によりますね。
というのはダンボールなどで梱包されているような貨物は
通関が切れた内国貨物の状態になってから出ないと開封することができないからです。
外側はなんともなかったけれど
中身開けたら使用できない状態であった、ということもあります。
その場合、輸出通関をして再度外国貨物にして輸出者のもとへ返送することになります。
シップバックの準備をする

シップバックは輸入者が輸出者となり輸出の準備をすることになります。
立場が逆になります。
輸入業務がメインの場合、書類作成や船のブッキングをすることがなく最初は戸惑うかもしれません。
まずはフォワーダーに返品する貨物を乗せるための船をブッキング(予約)してもらいます。
すぐにブッキングが取れるとは限らないので先にメールなどで概要を連絡しておき
船のスケジュールを確認してもらうとスムーズです。そして輸出者になり変わって書類を作成します。
・フォワーダーへ輸出(再輸出)の依頼書
・INVOICE
・PACKING LIST
・SHIPPING INSTRUCTION
等々、基本的な書類の他に輸出する国によって必ず必要な書類もあります。
相手国に必要書類を必ず確認する必要があります。
シップバックする際は相手国が原産地証明書が必要なので手配する必要がある、ということがありました。
原産地証明書の取得は自分で行う時もありますが、この時はフォワーダーが一緒に対応してくれました。
ありがたい。
あとシップバックの際に確認しておきたいことが返送する貨物の体積です。
貨物の梱包状態にもよりますが
一度輸入してコンテナから出した貨物は若干梱包材が膨らんでいることがあり、
純粋に規格書などで定められている縦横高さから計算した体積よりも大きいことがあります。
コンテナの容積ギリギリまで積み込みするような場合、
バン詰してる途中で入りきらない、といったことが発生してしまいかねないので注意が必要です。
シップバックの時のBLの扱い
返送する相手と自社との関係性にもよるかと思いますが
BLはオリジナル3部が良いです。
今時は通常輸送の時であれば近隣国の場合は特に、
BLが届くよりも貨物が先に到着してしまうことがあるのでWAYBILLなど原本を必要としなくても貨物を引き取ることができるやりとりが主流ですが今回の場合は貨物の返送です。
そして、輸入時にすでに輸出者に送金が済んでしまっている状態であれば
貨物を返すと同時にお金を相手から払ってもらわなければなりません。

過去に発生したとあるシップバックの時の対応は、
相手にオリジナルのBLはきちんと発行されていることを知らせるためにPDFで先に連絡し、入金が確認できたらBLオリジナルを相手国へ発送する、という方法で進めることになりました。
通常であればしかるべき裏書きがされた状態であるBLが手元に来た段階で、
貨物の所有権が発生し実際の金銭のやりとりが発生するわけですが、
シップバックの場合、返送する羽目になった輸入者からすれば
相手国へ貨物到着前にBLを渡してしまうと、
・貨物はすでに手元から離れ洋上にある
・BLも手元にない
・返送した貨物のお金も入ってきていない
・この状態からお金が本当に送金される保証もない
ないないづくしの状態になってしまうわけです。
普通に生活していると考えられないことですが
返送先の相手がお金も払わずに貨物を入手し、国内販売でもしてその貨物を処理する、ということも十分に考えられるのです。
逆に、返送される側からの視点からすると
BLのコピーがあるから出船されていることは一応わかるものの、
本当に無事到着するのか、
手元にBLがない状態で送金をするわけですから当然不安感はあるでしょう。
お金のやり取り、貨物の到着が無事に終わらない限り不穏な空気が漂い続ける、
手間も時間も費用もかかる、輸出者、輸入者双方にとっていいことが無い、
それがシップバックです。
正直めんどくさい、
でもこの仕事をしてればいつかは直面する
ここまでお読みいただいて、
なんてめんどくさいのだろう、と感じたと思います。
そもそもまず輸出者が返品を受け取ることを拒否したら送り返すこともできません。
どういう理由でシップバックするのか、その話し合いから始まり、
シップバックに関する費用をどちらが負担するのか、という話にもなり、
送金のタイミングはどうするか、という話にもなり…。
これを通常業務と並行して行わなければなりません。
こんなめんどくさいことはないです。本当に。
しかし貿易事務の仕事をしていればいつかは直面することです。

普段自分たちが日常生活でお買い物をした時でさえ、中身が違って返品、なんてことは起きることがあるので仕事でも発生する可能性は十分に考えられます。
最初の頃は、本当にもうヤダ、、、(いや、何回やっても嫌ですが)と思いますが
新しい経験が積めたと思い対応していくしかないです。
悩んでも仕事は進みませんので
どうせなら前向きに、ですね。
今回はシップバックをした時についてのお話しをしました。
貨物や相手国などにより対応方法は異なることがあり、
あくまで一例ではありますが、何かご参考になれば幸いです。