貿易事務

貨物がショート・オーバーした時

こんにちは
有坂です。

みなさん、コンテナから貨物を下ろして保税倉庫から入庫通知書が来たら

書類の数と数量が違った!

ということありませんか??

今回は過去に体験したことを元に
ショート。オーバーしていた際にどのように対応していくかをお話ししていきたいと思います。

*ここではバルクなどではなくカートンに入っている定貫(個体ごとに重量が異ならない)貨物を前提とした話です

倉庫に入って入庫通知書が来たら必ず数量確認

まず、毎回貨物が保税倉庫に入って入庫通知書が手元に届いたら
船積書類に記載されている数量と一致しているか確認しましょう。

この倉庫に入った実数量がNACCSシステムにも反映され、最終的に申告する内容になります。

貨物が予定より少なかった場合のことをショートと言い、
逆に予定より多かった時のことをオーバーと言います。
また、合計の数量、重量は変わらないものの商品の入りくりがあった、ということもあります。

取り扱う商品や取引する国(なんでしょう、肌感覚みたいな違い)で
ほとんどショート、オーバーがない取引もあれば、

「なんかまた入りくりあるよ〜」みたいな取引もあったりします。

商売や書類のやり取りをしている担当者がちゃんとしていそうでも
実際の貨物を動かすのはその人たちではなくまた別の業者だったりしますので
「似たような箱で間違えてしまった」なんてことは無くは無いのだろうなと思います。

日本向けの貨物なら大体箱に記載されているのは日本語だったりして現地の方は読めなかったりしますから。
(だからいいってわけでは決してないのですが、その辺の肌感覚がやっぱり違うんですよね)

なのでまずどんなに忙しかろうと入庫通知書の確認を必ずすること。これは絶対です。

書類の訂正をお願いする

それでは実際に、ショート、オーバー、入りくりがあった際はどう対応すればよいでしょうか。

まずはオーバー、の場合。
日本側で倉庫で実数がオーバーしていたことを現地側に伝えます。
保税倉庫からもらう入庫通知書の添付などを添えて連絡するとよいです。

ほぼ日本語かもしれませんがバーチャーとなるものが無いよりかは報告の内容の正しさを強調することができます。
数量がわかる画像などがあれば望ましいですがおそらくそこまで手間をかけてくれる倉庫は少ないでしょう。
保税倉庫は日々貨物を下ろしたり輸出用にバン詰めしたり、内貨貨物の入出庫もあり忙しいです。

輸出者にはINVOICE,PACKINGLISTを訂正してもらいます。
実数量が正しくて書類に不備があったということになるので書類を訂正してもらいます。

大体オーバーのケースはそこまでこじれずに解決します。
なぜなら輸出者側が損をしないからです。
貨物が書類より多かった=多く請求できる からです。

これは申告前であればこの訂正したINVOICEで申告になりますが、
もしもオーバーが通関許可後に発覚した場合は元々のINVOICEと数が異なるとわかる書類を用いて修正申告しなければなりません。
結果として収めた関税が過少になってしまっていることになりますので。

→→

問題はショートと入りくりの場合です。

入りくりの場合もオーバーと同様、
もしも商品単価の高いものが多かった場合、書類の訂正は案外すんなりいきますが

商品単価が低い方が多かった、もしくはショートしていた場合、
なかなか書類の訂正に応じないことがあります。

輸出者:「いや、こっちはちゃんとこの書類の内容通り積んだよ!」

ってことになります。大体。

では、確認しよう、となります。

バン詰め時の画像を送ってもらう

輸出者によってはバン詰め作業時にきちんと画像を残している輸出者もいます。
もしくは契約の段階でバン詰めの画像を残しておくよう取り決めておくことも可能でしょう。

有坂:以前に私も経験がありました。貨物にショートが発生し輸出者側に報告したらやはりちゃんと積んだと。
その時はこちらがいう前に向こうから「ちゃんと積んだ」の返信に大量の画像が添付されていました。

よほどちゃんと積み込みした自信(いや当たり前だけど)があったのでしょう。

そして画像をもらったらどうするか。

数えます

はい、PCに向かって
1、2、3、4、ご〜、ロク〜、ななぁ〜…。
ってその時は全部で900ケースくらいだったのですが私ともう一人、同じ貿易事務をしている同僚と数えました。

その時はあったのです。書類の数通り。

「あるね。うん、あるね!!」

有坂:これも仕事だと言い聞かせながら淡々と数え続けた記憶があります。

もう1度勇気を持って倉庫に数え直しを依頼する

貨物の数量が書類と同じくあるという確認ができたら

勇気を出して倉庫にもう一度数え直しの依頼をします。

これかなり勇気のいる行動です。

私たちは口で言うだけですけど倉庫の方々は実際に現場まで行ってもう一回数えるわけです。約900ケースを。しかも申告を控えているので
「ちょっと落ち着いてからでいいよ」なんてわけにもいきません。

「他に仕事があるのも承知してます。でもこのまま申告に進むわけにはいきません。数え直してください。すぐに。」
(心を無にしないと言えないセリフ)

倉庫の人:え〜(まじかぁー)

で、4時間後くらいに

倉庫の人:すみません…ありました。。

っていうことが実際に今までで2度ありました。
倉庫の方も人間ですからね、こういうことも(あってはいけないけれど)ゼロではありません。


この2回は申告前にきちんと数量が書類通りあることがわかったので修正申告を行うということにはなりませんでした。
これがもし通関後に「やっぱりあった」なんてことになったら*修正申告を行うことになりますし保税倉庫さんもおそらく税関からの注意みたいなのがあるはずです。

一方で、もしももらったバン詰め画像や実物を数え直しても数量がやはり不足していた場合、

これは輸出者側に現状不足している事実を説明し、書類の訂正をしてもらいましょう。
もしもそのままのINVOICEで申告し、後日CREDIT NOTEが発行されるようであればのちに**更正の請求が必要です。

税関に対して正しく納税することは貿易の仕事をする上で絶対ですが
この修正申告や更正の請求は何かと手間と時間がかかってしまいます。
(特に過少だったものを修正申告して不足分の納税を行うより、すでに納税しているところから収めすぎたから返してということになる更正の請求の方が何かと時間がかかるとか…)

通関後にこのようなことが無いに越したことはありませんので

・輸出者には貨物のバン詰め時にきちんと積んでもらうことを常に依頼する
(画像なども残しておいてもらう)
・保税倉庫にも(イラつかれない程度に)きちんと数えてもらうお願いをする
・自信も入庫報告書を必ずチェックする

を徹底してスムーズな輸入取引を目指しましょう。

 

*修正申告…納税申告をした者が本来納付すべき関税額より過少であった場合(不足額がある場合)に自発的にその関税額を増額変更する申告を修正申告と言います。

出典:JETRO/国・地域別に見る/貿易・投資相談Q&A/関税の納税申告の際の修正、補正、更正、是正の意味:日本/https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011011.html

**更正の請求…納税申告を行なった方が、誤っていた納税申告と正しい納税申告の両方の内容などを記載した関税更正請求書(税関様式C-1030)を納税申告をした税関官署に提出することにより行います。

出典:税関/ホーム/輸出入手続/カスタムアンサー(税関手続FAQ)/1305納税申告に誤りがあった場合(修正申告、更正の請求、過少申告加算税)(カスタムアンサー)/https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1305_jr.htm