こんにちは
有坂です。
貿易関連事務方系の仕事において影響があると言われているAIの登場。
輸出入関連の仕事の中で重要な部分といってもいい通関業務を担う通関士たちはAIの登場に関してどのように考えているのでしょうか。
私の同僚で貿易事務から通関士の仕事を目指している後輩がいるのですがこのようなことを言っていました。
これから10、20年後って確実に私まだ生きてるし、
40くらいになっていきなり仕事なくなったら大変!
今以上にもっと貿易関連の知識身につけたいなと思って通関士を目指したいと思ったのですが、もう少し違う道を考えたほうがいいのかと思うようになってしまって。。。
後輩は将来を見据えて、また自分のスキルアップに関して若いながらもかなりしっかり考えていて感心します。
一方でネット情報で会心の一撃を食らってしまうくらい脆い一面もあり、違う道を考える前にちょっとだけ冷静になる術でも先に身につけたほうが良いと思う今日この頃。
と、後輩の性格はさておき、
今回も湊君と周りの通関士さんのお話を交えつつ通関士の将来について進めていこうと思います。
通関士の仕事は将来なくなる仕事候補?
AI(人工知能)の台頭により将来なくなると言われている仕事が数多くあります。
通関士もその内の一つです。
通関士は10年後、20年後には消滅してしまう職業なのでしょうか。
現時点でAIによって代替え可能な仕事は定型の仕事あるものがほとんどであると言われています。
決まった内容をPCに入力するだけの仕事は定型の仕事に当てはまるため通関士の仕事もAIに代替えが可能とされています。
通関士の基本的な仕事はデスクワークが中心で書類作成・内容確認・申告業務などです。
細かいミスがないかを確認したり正確さが重要である仕事のためAI代替に適している仕事内容に感じます。
しかし全ての通関士の仕事をAIに代替可能かというと難しい面も出てきます。
通関士の仕事は無くならない?

AIを導入している企業も少しづつ出ていますがまだまだ活用されていないのが現状です。
背景にAIを導入する費用と効果、導入に至るまでの作業が懸念されているようです。
企業内にAIに関して詳しい職員がいなければ外部委託することになりますがどの外部企業もAIに精通している人が少ないと言われています。
外部委託することで導入費用はさらに上がります。どの業務までをAIに組み込んで運用できるか、といった問題も導入が進まない原因となっています。
結果まだ人に任せた方が費用も時間もかからないと考える企業も多いのです。
加えて現段階でAIに置き換えられない仕事があります。
それはトラブル対応や税関へ陳述,貨物現物検査、荷主への対応といった
「人間的な」対処などです。
トラブルの内容が毎回同じものであればAIが学習して対処してくれるかもしれません。
しかし発生するトラブルは内容も規模も千差万別です。
毎回同じではない上に迅速かつ臨機応変な対応が求められます。
国際間の仕事では日本国内では考えられないような予期せぬ問題が発生することも多いにあります。
そして税関や荷主に対しての説明も正確性とともに柔軟性が求められるものです。
毎回同じことを説明するわけでもありません。
例えば関税を決定するHS CODEの判断。
ものすごく多くの種類が存在する貨物の分類作業は容易ではありませんし、
書類上の内容だけではどのコードに当てはめれば良いのか判断がつかない時もあります。
その時は荷主から情報を得たり税関へ説明した上で判断を仰いだり、画一的な作業では処理できません。
デスクワーク中心の仕事の通関士ですがいつも毎日一緒な仕事ではないのです。
この点を考えると通関士の職業自体は完全になくなることは考えづらいです。
将来も通関士として働くために必要なこと

通関士の仕事をする上で大事なことは
人ならではの行動ができるか、知識と経験を積み重ねていけるかです。
通関士の仕事は完全にななくらることはないと今の時点で考えられますがAIに代替が効く部分の仕事はいずれ代替えされるに違いありません。
少子高齢化で働き手が減少している日本は(外国人労働者を増やしたりしない限り)いつかは人でなくてもできる仕事を代替えしていかないと仕事が回らなくなります。
その際に,
人間的な仕事が長けていることが通関士として働き続けていく上で必要となるでしょう。
知識と経験も大事です。
荷主からしたら知識と経験がない通関士より、今まで培ってきた知識と経験をうまく活かしている通関士に仕事を頼みたいものです。
「あの人ならこんなトラブルも乗り越えてくれた、困った時いつも的確なアドバイスをくれる、ちょっとした相談ものってくれる」
という存在になれれば荷主からだけでなく、勤める会社内からも重宝されます。
その人のために頑張りたくなります。
通関士の知識と経験を他の仕事に生かす

総合商社や輸出入を行なっているメーカーなど通関業者以外の企業で働くという選択があります。通関業務の複雑さから通関業者に依頼をする企業が多いですが中には自社に通関部を設けて輸入者・輸出者独自に通関業務を行う企業もあります。
輸出入事業のある会社であれば営業職として転職する道もあります。
営業職はまるで異なる仕事ではありますが貿易事業を行なっている企業であれば必ず通関士として積み重ねてきた知識と経験が生かされます。
営業経験も得て貿易、通関業務の仕事にも精通していればとても貴重な人材になれます。
また通関士の仕事を通して積み上げた知識と経験を生かし個人で輸出入ビジネスを始めるという道もあります。
もちろん通関の知識のみならず販売戦略といった営業の知識も合わせて必要となりますが申告の仕方が分かり法律に関しても知識があり、税関とのやりとりの経験もあることはかなりの強みです。
中には独学で個人で輸出入のビジネスを始めて成功されている方もいますがかなり根気のいることでしょう。
一度企業に属して通関の仕事をするメリットとして
・直接先輩社員から教えてもらえる
・企業ならではの大きな数量・金額の取引案件を扱うことができる
・様々な商品の輸出入申告を経験することができる
・本には載ってないような事例などを聞くことができる・また実際に体験することができる
・学びながらもお給料をもらえる
といったことが上げられます。
実際に経験者から教わる、体験談を聞く、対処法を聞くことができる環境は
自分の成長を早めることにつながります。
その環境の中で自分が今後通関士として企業勤めを続けるか、経験を生かし違う道へ進むかといったことのヒントも見つかるでしょう。
雇う側の企業からしたら「学ぶ」ことより「仕事をきっちりやってほしい」というのが本音ではありますが誰しも最初は覚えながら、学習しながら仕事をしていきます。
その上できちんとお給料も支払われます。これを活用しない手はありません。
最初からすでに「将来的には個人で働きたい」と考えている方も一度企業で働くことは将来の夢への近道になるかもしれません。
そこで得られる経験はきっとのちに自分を助けてくれます。
それに通関士の仕事って貿易に関わる仕事であれば他の職種でも生かせるし、
学びながらお金もらえるって確かに使わない手はないですよね。
その環境に入っていってしまった方が何事も習得は早いですし。
考え込んで動かないよりまずやってみた方がいいかもしれませんね!
冷静に考えることはもちろん大切です。しかし時に直感に従うことが何かのきっかけになることもあります。
ポジティブ思考時に限っては心の思うままにすぐに行動するものありかもしれませんね。

