こんにちは
有坂です。
これから通関士試験の勉強に励もう!
と持っている方にとって
不合格
の文字を見るとなんだか不吉!
と思われてしまうかもしれませんが
本日は同僚の通関士試験を勉強して不合格になったときのお話を聞けたので
そのエピソードをシェアしたいと思います。
(もちろん本人には承諾済みです!)

なぜ通関士試験を受験しようと思ったのか
同僚の伊東さん(29歳の女性の方です)は貿易事務職として働いて5年になります。
とても仕事熱心で知らないことをどんどん知りたい、様々なことを吸収したい、
というところがあります。
伊東さんが通関士試験を受験しようと思ったきっかけはまさにこの仕事熱心からきているのですが
・もっと貿易の仕事のことに詳しくなりたい
・もっとフォワーダーさんとのやり取りをスムーズに行えるようにしたい
・将来的にはステップアップの転職を考えていて
その際に国家資格保持を履歴書にかけるのはプラスになるのではないか
という考えがあったようです。
本人曰く、一番強く思っていたのは最後とのこと。
どんな仕事でも実務レベルでどれだけできるかが重要だけれど
やはり第三者から見た時に資格があるかないかでは印象がかなり違うのも確か。
もちろん転職が前提でなくても、プラスに働くでしょう。
こうした理由から伊東さんは通関士試験を受験することに決めました。
受験したのは2016年の第50回の年でした。
どんな勉強方を選んだのか、また勉強の進め方
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貿易事務の仕事をしていたので全くの知識がないところからの勉強スタート、
というわけではなかったものの、
通関に関することは全てフォワーダーに依頼する立場のため、
本屋でなんとなく見てみたテキストに怖気付きました。
同じ会社にやはり貿易事務の仕事をして2年かけて通関士試験を突破した人がいたので
その方に話を聞いたところ、初年度は資格のスクールに通って、2年目は独学で合格したとのことでした。
本屋でテキストを見て独学だと難しいと判断したので
通信講座かなと思っていましたがスクールの選択肢も考えるようになりました。
私の性格的に通信講座といえどもだらけてしまわないか不安だなと感じていたのも確かでやや強制感のあるスクールに行くことに決めました。

スクールに申し込んだのはGW少し前。
通関士試験に挑戦しようと思ったのが春先(新年度始まって何かチャレンジしたい気分に)だったのでいろいろ検討しているうちにGW前になってしまいました。
多分勉強開始時期に関してはギリギリのラインだったと思います。
本格的な勉強開始も遅めだし、
スクールにも通うことに決めたし、ここから約半年ガッツリ勉強しようとかなり気合が入りました。
スクールには週2回、会社の後に通いました。
スケジュールがどうしても合わない時は講義が収録されたDVDを視聴して、
質問があれば次回の講義時にしていました。
スクール以外では朝出社前に会社の近くの喫茶店で約1時間くらい勉強してから出社していました。
いつもより朝早く起きるのは慣れるまで辛かったですが今では早起きの習慣が身に付いたのでよかったと思っています。
また仕事終わりだとどうしても疲れて勉強する気になれなかったので朝に時間を取ってました。

それでも流石に試験1ヶ月前には不安が強かったので仕事終わりも勉強していました。
家に帰るとだらけてしまうタイプなので21時とか22時閉店の喫茶店やカフェを選んでいました。
外だからだらけない、というのと終わりの時間が決まっている方が
「この限られた時間で集中してやろう」という気になったからです。
約半年だからやれる、と言い聞かせてこの年は10月1週目までは仕事と勉強漬けの日々でした。
勉強期間中に襲ったモチベの下がる出来事
この勉強期間中に会社で査定があったのですが、
ある時、評価の結果についての説明があったんですね。
その時に言われた言葉が
「事務職員の人たちは頑張っても無駄だから。年齢でしか昇給はしないから」
そう言われたんですね。
唖然としました。
もちろん事務職員なので実際に営業系の仕事と異なりお金を稼ぐポジションではないけれどもそういう仕事もしている人たちがいて会社という組織は成り立っていると思っていたので。
仮に年功序列でしかなくても、頑張っても無駄、という言い方はあるのだろうか、
そう感じました。
貿易事務として働いていますが実際には貿易関連の仕事以外の事務作業も多く、
やっていても特段感謝はされないけどやっていなかったらなぜできていないのか言われる…。

悔しかったし、その言葉が頭をよぎり
イライラして勉強に集中できなくなる時もありましたが
絶対合格してやろう、そう思うこともできました。
結果は不合格
自分の中ではもうやり切った、というくらい勉強しました。
通関士試験は3科目ありますが1番の関門は3科目目の通関実務ですよね、これが全てと言っても過言ではないと思います。
私も1日目目の通関業法、2科目目の関税法に関しては合格ラインをクリアしていました。
しかし3科目目に関してはもう答え合わせをする前からほとんど自信がなく。
試験会場でものすごく焦ってしまったのを今でも覚えています。
「いける!」と思ったのです。輸入の計算問題が実際関わっている仕事に近しい内容だったので。
それが逆に良くなかったというか、自分の中でチャンスというよりプレッシャーのように捉えてしまったんですね。
これで正解できなかったら、こんな私に取って好都合な問題、絶対に落とせない、と。

ものの見事に焦りに焦って何度も計算ミスはするわで…。
いったん他の選択問題全て終わらせて最後の最後まで計算し直しましたけど結果不正解。
焦りが他の問題にも影響したのか、選択問題でもミス。
後から冷静に考えれば全然違うじゃん!てわかったものも試験中には全く気づくことができず。
本当に情けなさでいっぱいでした。
勉強してよかったと思った理由
いっときはほんとに落ち込んでいました。
あの半年間の勉強した時間は何だったんだ、と。時間もお金も無駄にしてしまった。
そんなふうにしばらく思っていました。
試験結果につながったとは思っていませんが
「頑張っても無駄」と言われたことも少なからず引きずっていました。
だけれど少し時間が経った頃に仕事中に気づいたのが
勉強した内容が少しは役に立っていることです。
「この場合って〇〇な感じになるのかな?」
「この時はこれダメだよね」
とか、フォワーダーさんとも詳しく話ができるようになったんですね。
実際に商品の仕入れを決めてくる営業担当者の中には貿易実務の知識や通関時に必要なことなどがあまり詳しくない人もいたりします。
その担当者たちにフォワーダーさんからの説明を噛み砕いて話すことができるようになったり、
取り扱っている案件で途中「これってこのまま通関できるのか?」とちょっとしたことに気づけるようになったり。
勉強して感じたことは
やはり実際は教科書通りでないことの方が多いけれど、知っている、知らないで仕事の進め方も変わりますし、また自分で言うのもですが、周りからの目も少し変わったかな、と。
「貿易のちょっとした疑問は伊東さん聞いてみよう」みたいな雰囲気が少しあって、信頼されているのかなと思うととても嬉しいですね。
また受ける気はあるか
試験を受けてから数年は全く受ける気はありませんでした。
やはり仕事をしながらの勉強はやってみてかなりしんどかったですし、
何より通関実務の自分の仕事と関わりのあるチャンス問題を落としたと言うショックが大きかったです。
あとはひきづりすぎかもしれませんが「頑張っても無駄」と言われたことは数年頭の中に残っていましたね。
今は全く、そんなこと言われたこともあったなくらいですが笑
何もやる気が起きなくて、当初考えていた資格も取ってステップアップの転職なんてこともすっかり頭から消えていた状態でした。
でも時間が経過して周りの環境も変わって、自分の考えや気持ちも変わって
今では再受験に関してもまた考えるようになりました。
今度もしまたチャレンジする時は最新のテキストを自分で買って独学にしようと思います。
やはりスクールは強制感があって勉強にちゃんと迎えますが費用がかさみます。
ただ最初の挑戦の時はスクールを選んで良かったと思っています。
どのように勉強を進めていけばいいかわかりましたから。
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通関士試験は合格率が10%前後の難易度の高い試験と言われています。
その理由として誰でも受験可能であるため特段勉強しないで受けてしまう人もいるから
不合格者が多く出て合格率が下がっていると言う話もあります。
もちろん理由としてあるかもしれません。
しかし通関業務の経験はないとはいえ貿易関連の仕事を数年している人でもかなり勉強をやり込まないと合格が難しい試験であることも事実です。
本当に全くの勉強初学者でなおかつ仕事をしながら勉強をするのであればやはりスクールか通信講座が効率よく学べます。
通関業務従事者やすでに受験経験者は独学でコストを抑えて学習することができそうです。
いかがでしたでしょうか。
今回は貿易事務職で通関士試験受験経験者の伊東さんのお話をご紹介しました。
実際に伊東さんは不合格ではあったものの、勉強したからゆえに身についたこと、気づいたことなど収穫はゼロではありませんでした。
